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なぜ鏡に人が写るの?光の反射の仕組みを娘の疑問からやさしく解説

ことの発端は、ピカピカに光り輝く美しい氷だった。

「キレイ〜」
じっと氷を眺める娘。でも、途中で何かに気づいて顔をあげた。

そこは、洗面台だった。目の前には鏡がある。娘はもう一度、氷に視線を落として

「なんで、鏡にはルカが写ってるの?」

要は、こういうことらしい。ピカピカの氷には、自分が写っていない。なのに、同じくらいピカピカの鏡には、自分が写っている。これが不思議だったみたいだ。

正直、僕にもわからなかった。そもそも自分の顔が写るほど綺麗な氷ってあるのか。そして鏡に物が映る仕組みを僕はちゃんと知らなかった。

その場では「不思議だね〜」としか言えなかった。
だから、さっそく調べることにした。

反射には「乱反射」と「鏡反射」の 2 種類がある

光が、物に当たって跳ね返ることを反射という。でも反射には、2つの種類があるらしい。

「乱反射」と、「鏡反射(正反射)」

物の表面には、目には見えないくらいの小さなデコボコがある。板にたくさんのスーパーボールを投げつけたと思ってほしい。あちこち、バラバラの方向に跳ね返っていくはずだ。これが乱反射。光があちこちに散らばって届くから、そこに何が写っているかが分からなくなる。

でも、表面が十分に平らだったら。大きなスーパーボールを1つ大きな板にぶつけたら、まっすぐそのまま返ってくる。これが鏡反射。

え、待って。じゃあ鏡って要は「めちゃくちゃ平らな板」ってだけのことなのか。

なんか、拍子抜けした。もっと複雑な仕組みを想像していたのに。

氷が鏡にならない理由

鏡は、ガラスの裏側に金属が塗られていて、その面がとても平らに作られているから鏡反射が起きる。

一方、氷はどうか。見た目はツルツルしていても、表面には目に見えないレベルの細かいデコボコがある。だから光はあちこちに散らばってしまう。娘の顔をはっきり跳ね返すほどの平らさが、氷にはなかったのだ。

これ、今日まで知らなかった。42年生きてきて、氷が鏡になれない理由を一度も考えたことがなかった。

鏡に映ると左右が逆になるのはなぜ?2000年間未解決の謎

ここまで調べて、少しすっきりしつつも、もう一つ気になることが出てきた。

鏡に映る自分は、なぜか左右が逆になる。右手を上げると、鏡の中の自分は左手を上げているように見える。でも、よく考えるとこれ、おかしくないか。なんで左右だけ逆になって、上下は逆にならないんだ。

調べたら、思わぬ答えが返ってきた。古代ギリシャのプラトンの時代から議論されていて、2000年以上たった今も正確には決着がついていないらしい。

え、これ人類、まだわかってないのか。

娘の「なんで」に、2000年間、誰も完全には答えられていない。ちょっと痛快だった。これはまた、次の「なんで?」に取っておこう。

鏡が怖いと感じるのはなぜ?合わせ鏡と鏡にまつわる言い 伝え

鏡は、身だしなみを整えるときにみんなが使うものだと思う。僕も、ドライヤーをしながら鏡を眺めるし、ネクタイが曲がっていないかチェックする。妻は、お化粧するときに鏡を見ている。その横で、何もついていないパフを持って、お化粧の真似をする娘。

鏡は、日常に溶け込んでいる。

しかし、例えば合わせ鏡。どこまでも自分が写り続けて、ちょっと怖い。小さい頃、「鏡に幽霊が写る」なんて怪談話を聞いたこともある。割れた鏡は縁起が悪いから、すぐに捨てるようにと、祖母からも教わった。

これも、何でなんだろうと改めて思った。調べてみると、鏡が「神秘的なもの」として扱われてきたのには、ちゃんと理由があった。

発端は、日本神話だった。
太陽の神様である天照大神が、岩戸に隠れてしまう話。太陽神が隠れたせいで世界が真っ暗になった。困り果てた他の神々が、一つの作戦を思いつく。大きな鏡を作って岩戸の前に掲げたのだ。天照大神が、少しだけ岩戸を開けたとき。その鏡に、自分自身の姿が映るように仕掛けた。

鏡を見た天照大神は、「え?!自分以外にも、光り輝く神様いるの??」驚いて出てきたところをチャンスに、外へ引き出した。

これが、世界に再び光が戻ったきっかけらしい。この鏡は、のちに「八咫鏡」と呼ばれて、今も皇室に伝わる三種の神器の一つになっている。後に天照大神は、この鏡を「私自身だと思って、大切にしなさい」と言い残した。

みんなの作戦通りに穴から出てきてしまったので、きっと照れながら言ったんだろう。あの神様、ちょっとかわいい。

この言い伝えから、鏡は単なる道具を超えて、神様の魂そのものとして扱われるようになっていった。

鏡が割れると縁起が悪いと言われる理由

鏡が「魂を映すもの」だとしたら。それが割れるということは、「自分自身に、何かが起きる前触れ」のように感じられる。

要は、縁起が悪い。

面白いのが、鏡が割れると不幸になるという言い伝え、日本だけじゃなくて、古代ローマまで遡って世界共通らしい。

日本には、もう一つ独特な考え方があった。鏡が割れたのは、持ち主に降りかかるはずだった災いを鏡が身代わりになって引き受けてくれたから、という解釈。
怖いものというより、守ってくれたもの。

同じ出来事でも、見方を変えると意味がまったく違って見えてくる。娘が怖がった「合わせ鏡」も、もしかしたら、ずっと自分を守ってくれているのかもしれない。

さて、娘にどう話そうか

「なんで鏡にはルカが写ってるの?」

これに、今なら答えられる部分もある。「鏡は、すごく”つるつる”だから」とか。

でも、光の話は、まだすぐには理解できないだろう。反射の仕組みは、もう少し大きくなってから話そうと思う。今日、伝えるとしたらこっちかもしれない。

「鏡に自分が写るのって、不思議だよね」

「実はね、ルカだけじゃなくて、おじいちゃんも、おばあちゃんも、パパもママも、昔から、みんな不思議に思ってたんだよ」

「昔の人はね、鏡のことを”魔法みたいなもの”だと思って、大事に磨いて、綺麗にしてたんだ」

だから今日は、一緒に鏡を磨いてみようか。
理由は、まだちゃんとは説明できないんだけど。

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